3年前にロードバイクでサイクリングをしている道中で転倒して鎖骨を折りました。その際、頭を打った記憶はないのですが、ヘルメットの側頭部が破損していました。それ以来、サイクリングをする際は近場でも必ずヘルメットを着用するようにしています。
とは言え、銀行やコンビニに行くときに電チャリに乗るときまではヘルメットは付けていません。2023年4月の道路交通法改正でヘルメットの装着が努力義務となったことは重々承知しています。しかしながら、こんな本気のヘルメットを被るのはさすがにちょっと恥ずかしいわけです。
そこで、電チャリで被っていても恥ずかしくないヘルメットを探していたところ、ちょうど楽天プレミアムパートナーで試す機会を得ることができました。今回はそのレビューをお送りします。
自転車用キャップ型ヘルメット
今回試してみたのは、「CE認証 男女兼用 自転車ヘルメット」のブラック色です。内側にABS樹脂製のインナーシェル、さらにアゴ紐も付いているものの、外側はオックスフォード生地でできていて、パッと見た感じは普通の野球帽のような感じです。これなら街乗りでも恥ずかしくないと思いました。
ニューエラの野球帽と比較
息子からニューエラの野球帽を拝借して比較してみました。今回のヘルメットのほうが頭部の奥行が深いものの、見た目には大きく違いません。
野球用ヘルメットと比較
頭部の奥行はむしろ野球用のヘルメットに近い感じです。こちらも虎党の息子から拝借しました(笑)
サイクリング用ヘルメットと比較
本気のサイクリング用ヘルメット(OGKカブト・VITT)と比較すると、まったくボリュームが違うことが分かります。VITT(ヴィット)のほうが一回り以上大きい感じです。
2mm厚しかないABS製インナー
こちらのヘルメットのインナーはABS樹脂でできており、頭頂部以外は2mmしか厚みがありません。頭頂部もたった15mmです。
押せば簡単にたわむ強度
2mmしかないインナーのため、片手で掴むだけで簡単にたわんでしまいます。これでは側頭部を守れるはずがありません。
サイクリング用とは厚みが全然違う
サイクリング用ヘルメットは発泡スチロールでできており、もっとも薄い部分でも15mm以上、他はだいたい22mmくらいあります。両手で挟むようにして力を目いっぱい加えるとさすがに割れそうですが、耐衝撃性は高いと思われます。
ちなみに、今回のCE認証ヘルメットの重量は228g。OGKカブトのVITTは262gでした(いずれもアゴ紐を含む)。重量は約15%しか変わりません。
EN812⇒自転車用じゃなかった!
自転車で転倒するときはたいてい側頭部を打つものです。ミサイルのように頭頂部から落ちるなんて、想像するだけでも笑ってしまいます。
「こんなんで本当にCE認証なの!?」と思って調べてみたところ、インナーの内側に文字が刻まれていました。上写真はそれを転写したもので、以下のように書かれています。
Conforms to EN812 A1 standard
Does not comform to EN397 or ANSI Z89
DO NOT use in designated hard hat area– EN812 A1規格に準拠
– EN397 または ANSI Z89 に準拠していません
– 指定されたヘルメットエリアでは使用しないでくださいHardCap A1+
ALLROUND PROTECTION– ハードキャップ A1+
– 万能の保護size: 58-62cm
TOP CAP BUMP CAP
EN812: 2012
CHAOMENG-12– サイズ: 58-62cm
– トップキャップ バンプキャップ
– EN812: 2012
– チャオメン-12
つまるところ、こちらのヘルメットはCE認証済みと言ってもEN812(産業用安全帽)の規格で、自転車用(EN1078)ではありませんでした。これを自転車用と謳って販売するのは厳しいと感じます。
ちなみに、CEマークはすべてのEU加盟国の分野別のEU指令や規則に適合していることを示すものです。ヘルメット以外でも、EU加盟国に輸出される製品には付いてますよね。
なお、日本で自転車用ヘルメットと言えばSG(一般財団法人製品安全協会)マーク付きが一般的です。私がサイクリングするときに使っているものはJCF(公益財団法人日本自転車競技連盟)公認マーク付きで、これはSGの認証基準をクリアしたものとなっています。
自転車用ヘルメットを買うときは、CE EN1078認証、もしくはSGマーク付き、JCF公認または推奨の製品を購入するようにしましょう。今回のヘルメットは何も被らないよりはマシですが、およそ安心して使えるシロモノではありません。
とりあえず被ってみた(正面比較)
ともあれ、被りもせずにレビューもへったくれもありません。一応、被って比較してみました。恥ずかしがり屋さんなのでサングラスしてます。ゴメンナサイ。
今回の産業用安全帽はゴム紐が付いており、意外とフィット感は悪くありません。長さの調節ももちろん可能です。また、後頭部に調節ベルトが付いているので、頭部にもフィットします。被った感じも野球帽と変わらずで、ファッションとしてはgoodです。
サイクリング用のVITTはそれに比べるとキノコ頭です。ちなみに、サイクリング用は安物ほどキノコ感が強くなり、高価なものほどスマートであることが一般的です。
側面から比較
側面から比較してみると、サイクリング用のVITTは前部と後頭部が保護されていることが分かります。前のめりになって顔から落ちたときや、あおむけに倒れて後頭部を打ち付けたときにも安心です。
それに比べたら産業用安全帽はひとたまりもないことは明らかでしょう。
というわけで、今回ご紹介した商品は産業用安全帽としてはオシャレだと思いますが、自転車に乗るときに被るには適しません。見た目やセールストークに惑わされず、CE認証を謳っていてもちゃんとEN1078に適合していることが確認できるものを購入するようにしましょう。
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